+浪漫日記+
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シティについて
「ロマンチックウエーブ」(ぬら孫・総大将×牛鬼)です。
スペースNoはK-50a。
よろしくお願いします!
本は冬コミに出した1冊と当日新刊1冊の計2冊です。
よろしくお願いします。
夜若×鴆は間に合えば……(今から書きます故)
以上、です。
以下、つづきから新刊の一部をちょろっと。
滲む紅
「夜一人で出歩かない事! 良いなお前ら」
奴良組の役員会議で通達が出たのは、世間が夜に一人で出歩くと血を無くなるまで吸われ死んでしまうという信じたい噂が広がって来た頃の事だった。
「おいおい、総大将よ……俺達は妖だぜ? 人間とは違うんだぜ?」
総大将ことぬらりひょんが通達すると、幹部の誰かが声を上げる。
その台詞に他の幹部も当然だという表情を見せ強く首を縦に振った。
だがぬらりひょんは真面目な表情を崩さず、口を開く。
「昨日、うちの傘下ではないが、とある妖が血を吸われて干からびて死んでいるのが発見された」
「……何!?」
「そんな――」
「妖ともあろうモノが……」
干からびて死んでいたという言葉を耳にし、ざわざわと場が騒ぎ出す。
ぬらりひょんは騒ぎ出す場を見渡し、咳払いをわざと一つすると、ぴたりと騒ぎがおさまる。
「だからわしは決めたのだ。誰一人としてやられぬ為には一人での行動を慎むべきと」
にやりと口の端を上げて言うぬらりひょんに幹部達はやんや、やんやと拍手をし、今から早速と肩を並べて各々帰って行く。
その中に牛鬼の姿も当然あり、牛頭丸と馬頭丸を引き連れて帰っていくのをぬらりひょんは安心したように見送った。
皆が帰った後、残ったのはぬらりひょんただ一人。
がらんとした部屋に散らばった座布団を眺め、どかりと上座の己の席に着くと、一体騒ぎの主は何者なのだろうと考え出した。
血を吸う妖といえば西洋の妖である吸血鬼が考えられる。
だが、ぬらりひょんが耳にしている西洋の吸血鬼は血を吸い尽くすまでは至らない。そんな事をしてしまっては生命のバランスが崩れてしまうからだと昔、誰かに教わった。
だからぬらりひょんは吸血鬼を疑いならも本当にそうなのだろうかという迷いがあり悩んでいた。本当に疑いの眼差しを向けて良いものかと。
「うーむ」
気づけば声に上げ、頭を抱えている所に納豆小僧が怪訝そうに顔を覗き込んでいた。
目が合い、
「何じゃ?」
と口を開くと、納豆小僧はにっこりと笑って手に持っていた座布団を差し出した。
「悩み事がある時はふかふかの座布団に座ると気持ちが落ち着きますよ」
そう言われ、ぬらりひょんはそんなものかと思い受け取ると、己の座布団の上に置き、その上に腰掛ける。
確かに一枚よりも二枚の方が厚みが出たのかふわふわしていて気持ちが良い。
納豆小僧のアドバイスもあり、ぬらりよんは気持ちを落ち着かせる事が出来、改めて考える事が出来るようになった。
目を閉じ、思考を巡らせる。
最近、ぬらりひょんが人の世で耳にしている噂はただ一つ……血が全て無くなり死んでしまうという奇病。
否、奇病ではない。間違いなく妖の仕業。
その遺体には共通したものがあったと耳にしていた。